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「次の地震火災への警告」新潟・糸魚川大火から学ぶもの - 朝日新聞

 3年前、新潟県糸魚川市で大規模な火災があった。12月22日の午前に出火、147棟が焼け、鎮火まで約30時間もかかった。市街地での大規模火災は、地震時を除くと1976年の山形県酒田市の大火以来のことだった。

 戦後、建築物の不燃化と消防の整備が進み、地震以外で大規模な市街地火災はもう起こらないのではないかと専門家も考えていた。しかし、糸魚川大火のように初期消火の遅れ、木造密集地、強風などの条件がそろえば、全国どこでも大火は起こりうると再認識させられた。そして、飛び火による同時多発の延焼に、整備が進んだはずの消防も太刀打ちできなかった。

 大地震が起これば、同時多発の火災が発生する。私たちは糸魚川大火から何を学び、どう備えればいいのか。総務省消防庁の「糸魚川市大規模火災を踏まえた今後の消防のあり方検討会」の座長をつとめた兵庫県立大の室崎益輝教授に、教訓を聞いた。

    ◇

 火災の広がり方は「燃える力」と「消す力」で決まる。糸魚川の大火災では、火災の発見が遅れ、燃えやすい木造密集地があり、強風が吹いて飛び火がたくさん発生したなど「燃える力」が大きかった。一方、「消す力」でいうと消防力の整備が十分ではなく、消防職員もポンプ車も水も不足して太刀打ちできなかった。消防団の防火帽に顔を保護するシールドがなく、目を痛めた人も出た。

 昔は、若い元気な人が屋根に上がりむしろで火の粉を払って延焼を防いだものだ。だが、高齢化が進み、延焼を防ぐ活動はできなかった。避難がうまくいき死者が出なかったのが不幸中の幸いだった。

 糸魚川の火災は次の地震火災への警告ととらえたい。大地震が発生すれば同時多発火災は必ず起こる。大都市でも、多数の火災が起これば消防力も水も不足するので安心できない。

 消防は地域全体の火災を把握して、守らなければならないところを集中して消すというように出動計画を練る必要がある。

 市民は最低限の心得として、日頃の避難訓練に参加し、消火装置の使い方を覚えてほしい。日頃から、学校や勤め先で、どこに逃げるか考えておく。「こちらから火が上がったら、あちらの出口」というように考えておいてほしい。

 阪神・淡路大震災は弱い風で延焼速度は遅かったが、強い風が吹けば延焼速度は早まる。火に取り囲まれると逃げ場を失う。大きな煙が見えたら延焼の危険性を考え、たとえ火災現場がまだ遠くても、広域避難所まで逃げる必要がある。

 また、倒壊家屋は避難や消防活動の妨げになる。阪神・淡路大震災では、消防が生き埋めになった人の救助を優先したことも延焼拡大の要因の一つになった。1925年の北但馬地震では、港村田結(現在の兵庫県豊岡市田結)地区で家が倒壊して人が生き埋めになったが、「助けるな、まず火を消せ」と言って、火事を消してから人を助けたことで、結果的に死者を減らした。耐震補強を進め、家が倒れないようにしなければならない。(聞き手=編集委員・瀬川茂子)

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December 23, 2019 at 07:18AM
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