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豪森林火災 懸念される温暖化の悪影響 - 読売新聞

 地球的な規模で広がる環境異変の一つだとしたら、対岸の火事では済まされまい。

 オーストラリアで昨年9月以来、森林火災が猛威を振るっている。焼失面積は日本のほぼ半分に当たる約19万平方キロ・メートルに達した。家屋など2500棟以上が焼け、消防士など数十人の犠牲者も出た。

 火災で死んだ動物は、コアラなど12億5000万匹とも推計される。豪州には独特の進化を遂げた希少動物も多く、生態系への影響は深刻と言える。

 米国やカナダは消火隊を送り込み、日本も航空自衛隊の輸送機2機と隊員ら約70人を派遣した。火災の鎮圧と被災者支援に向け、各国が協力する必要がある。

 豪州では、毎夏に森林火災が起きるが、今回の特徴は、規模がかつてないほど大きいことだ。2019年は、豪州の観測史上、最も暑く乾いた年だった。地球温暖化の影響によって、被害が甚大化した可能性がある。

 留意すべきは、こうした大規模な森林火災が、昨年、世界各地で発生していることだ。米カリフォルニア州では、州知事が緊急事態を宣言した。シベリアでは、森林火災で永久凍土が解けることが懸念される事態となった。

 気候変動に関する政府間パネルの特別報告書は、世界の平均気温が将来、1971~2000年に比べて1・2度上昇すると、世界の約4割の陸地で森林火災が増えると警告している。

 温暖化による悪影響が、すでに顕在化してきたのではないか。

 森林は元々、二酸化炭素(CO2)を吸収することで、大気中のCO2濃度を抑える役割を担っている。火災で森林が失われ、再生に時間がかかれば、CO2の吸収機能が失われ、さらなる温暖化を招く悪循環に陥りかねない。

 温暖化の進展を少しでも遅らせる取り組みが欠かせない。

 今年から、新たな温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」がスタートした。各国がそれぞれ、温室効果ガスの削減目標を定め、実現に向けて努力する。

 日本は、温室効果ガスを新しい技術で削減する戦略を策定した。大気中のCO2を吸収した素材を使って、セメントを作る。光触媒などでCO2を分解し、燃料や樹脂に化学合成して活用する、といった内容である。

 今後10年間で官民合わせて30兆円を研究開発に投資するという。国際的な研究を先導し、温暖化抑止に貢献しなければならない。

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January 29, 2020 at 03:00AM
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