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ポストコロナ時代のオフィス環境はどうなるのか? ハーバード大教授が予想。 - VOGUE JAPAN

Photo: Andriy Popov/RF123

「エレベーターのボタンやドアノブなど、当たり前のものがオフィスから消えるだろう」── こう予想するのは、建築と公衆衛生を専門とするハーバード大学デザイン大学院の教授のホリー・サミュエルソンだ。

「何度も触れる必要がないのに、複数の人が毎日触れているものは何か。手洗いができる設備やアクセスが整っているか。不必要な溝や隙間はないか。換気設備は問題なく設計されているか。このように、オフィス環境を根本から見直すことで、改善するべき箇所が浮き彫りになるのです」

世界危機が建築のスタンダードを左右する。

Photo: Vasyl Dolmatov/RF123

歴史を振り返ってみると、危機的な状況が建築・設計の問題点を改善する契機になることは多々ある。1942年に起こったボストンのココナッツグローブ・ナイトクラブでの火災は、外開きのドアと人目を引く出口標識の導入につながった。また、1995年のオクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件を教訓に、セキュリティの厳重な高層ビルの外に防護柱が設置されるようになった。2001年のアメリカ同時多発テロ事件後には、飛散防止ガラスやコンクリートコア構造の建築物が増加した。そして新型コロナウイルスも、今後の建築に大きな影響を及ぼすだろう。特に、人の出入りが多いオフィスビルは変化が必要だ。

実際、その変化は既に始まっている。アメリカ建築家協会は、5月6日にコーワーキングスペースを安全に再開するためのガイドラインを発表した。別々の出入口の設置やオフィスへの入退時に人の流れを分離する導線の確保。そして十分なソーシャルディスタンスが保たれる待合スペースなど、安全な仕事環境を作るためのさまざまな新基準が導入された。

オフィスには、アクリル製ガードの設置、タッチレスキーカードシステムの導入、そしてオープンなフロアプランを分割する可動式のパーテーションなどが提案された。また、デスクは対面にならないようにジグザグに配置し、エレベーターのボタンには汚れを拭き取りやすい透明フィルムをかぶせることを推奨している。

オフィス環境において最も重要なのは換気だ。通常の空調システムは、オフィスにいる全員に暖気と冷気が行き届くよう、フロア全体の空気を再循環させている。

「このシステムは、例えば1人がくしゃみをすると、その飛沫が空気と一緒に繰り返し建物に循環してしまうというマイナス面があります。しかし、専用外気システムに移行すればそれは比較的に簡単に解決できます」

外気を取り込み、内部の空気を早く排出する専用外気システムは、より環境に優しい方法でもある。こうした変更を行うことで、未来のオフィス環境はどのようになるのだろうか。

働き方にも変化が! オフィスの未来予想図。

Photo: Dotshock/RF123

衛生的なオフィス環境の鍵を握るのは、ミニマルで未来的なデザインだと考えられる。デスクなどの家具類は、簡単に清掃できるように直線的なフォルムが採用されるだろう。ドアは自動開閉式が当たり前になり、入口はキーレスまたは、顔や目のスキャナーのような生体認証システムで入退室を管理するようになる。いたるところに手洗いと消毒ステーションが設置され、パーテーションのあるデスクがカムバックを果たすかもしれない。大半の企業がオフィスでの勤務を減らし、会議室がフリーワークスペースとしても利用され、従業員の密回避を手助けするだろう。また、ソーシャルディスタンスを促すように、建物内には一方通行の流れを示す矢印のような標識の設置が一般的になるかもしれない。

スペースを削減し、丸テーブルやソファのみを配置したミニマルなオフィススペース。Photo: Instagram/@woodsbagot/Woods Bagot

このような劇的な変化が予想されるとはいえ、未来のオフィスがディストピア的なものになると決まったわけではない。6月11日にオーストラリアの大手建築事務所のウッズ・バゴットは、独自のワークスペースのビジョンを発表した。

彼らのアイデアは、テレワークでは補えないオフィス勤務の最たる利点を強調したものだ。それは人とのコミュニケーションによって生まれる、独創的なコラボレーションともいえる。

「人々がオフィスに行く必要性があるのは、活気とエネルギーに満ちた同僚と共同作業を行うことが必要なときだと思います。あるいは会話や刺激を求めているときに限られるでしょう」

同社のサイトには、適切な距離を空けた丸テーブルとソファで満たされたワークスペースのイメージ図が掲載され、その下には「デスクのない職場の素晴らしさを想像してほしい」と書かれている。

地域密着型オフィスを形にした「コミュニティー・ノード」モデル。Photo: Instagram/@woodsbagot/Woods Bagot

同社は「コミュニティー・ノード」を推奨する別モデルも提案した。コミュニティー・ノードとは、ひとつの本社の代わりに、従業員の住宅周辺に複数の小さなオフィススペースを構えるという考え方だ。

「公共交通機関の利用や大人数の行動が減少した今、分散の方向に向かうはずです。その焦点となるのは、地域に密着した小規模なサテライトオフィス。オフィスと住宅との距離が狭まり、かつてはワーク・ライフバランスにおいて大きな課題だった“時間”が劇的に変化します。移動距離と時間が短縮されることで、家族や仲間との時間が増えます。これはローカル地域で働くという生き方をサポートするモデルなのです」と説明した。

アメリカのシティグループ社は既にこのアプローチを検討しており、マンハッタン本社から離れ、ロングアイランドやウエストチェスターのような郊外に不動産を探していると、5月にブルームバーグが報じた。

同じくブルームバーグは、フェイスブック社のオフィスの再オープン計画にまつわる記事も掲載。同記事によると、フェイスブック社は、7月6日にシリコンバレー本社に勤務する従業員の25%の復帰を迎え入れる予定だそう。ワークステーションは1.8メートルの間隔で配置され、従業員は一部のエリアでマスクの着用を義務付けられる。体温チェックを受ける可能性もあり、カフェテリアでは包装済みの軽食のみが提供される。そして当分の合間は、訪問者を受け付けない見込みだ。

すでに多くの会社が実施している極端なソーシャルディスタンス対策は一時的なものだろうとホリーは予想する。

「しかし、元に戻らないこともいくつかあります。私たちはこれからニューノーマルを生きていくのです」

Text: Elise Taylor

From VOGUE.COM

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