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トレーダーはオフィスがなくとも生きられる、崩された仕事の常識 - ブルームバーグ

A pedestrian walks in the Otemachi business district in Tokyo Japan, on Monday, July 29, 2019. The Japan Meteorological Agency declared an end to this year’s rainy season for the Kanto area — which includes Tokyo — on Monday, a month later than last year’s unusually short season.

Photographer: Toru Hanai/Bloomberg

新型コロナウイルス感染予防の観点からさまざまな業種で進んだ在宅勤務は、金融商品を扱うトレーダーの仕事もがらりと変えた。みずほ証券の金融市場本部の本川幸治副本部長は、非常識とも思えたやり方を導入し終えた今、「ほぼすべての業務が家でできるよう再現することができた」として、今後も週に1度は在宅勤務を続けるつもりだ。

  みずほ証券の債券チームでは人員の3割が在宅勤務をする。パネルやコンピューター、ボイスブローキングなどのインフラも導入後に徐々に揃え、スピーカーを通じて行う債券トレーディングを、トレーダーは自宅でこなす。

  週60-70時間をトレーディングフロアで過ごしてきたCLSA証券の営業部長、イアン・グリビン氏(51)も、効率的に自宅で業務できることがわかったと話す。東京に拠点を置くグリビン氏のリモートワークは午前3時30分に始まる。午前5時までにニュースのチェックを終えれば、午後1時まで一気に働く。手短に昼食を済ませると、30分の昼寝で午後の業務に備える。オフィスにいたら考えられないスタイルだ。

  在宅はむしろ効率改善に役立つという声も聞かれる。ゴールドマン・サックス証券のグローバル・マーケッツ部門デリバティブトレーディング部、王子富幸氏は「どこにいようとアウトプットしているかどうかが重要との認識が一層増し、自分のペースで集中できるようになった」と話す。通勤時間がない分、家族との時間が増え、マーケットをじっくり考える余裕が生まれるメリットもあったと話す。

  一方、新型コロナウイルスの感染拡大は新たなストレスも生んだ。SMBC日興証券で株式トレーディング業務を担う山田誠エクイティ部長は、本来の職務とは違うタイプのストレスとして従業員の安全確保を示した。同社はシフト制を採用し、出社する人員を6割に抑えてマスクの着用を求めた。通勤に徒歩や自転車が利用できるようドレスコードを緩めるなど、対応に追われた。一方、CLSA証券のグリビン氏は、顔を合わせる事がなくなった分、短時間のオンライン会議を何度もこなすことは在宅当初のつらい思い出だと話す。

  金融機関と言えど、今後は無視できないのが在宅勤務の増加で生まれた事務所の空きスペース問題だ。CLSA実行委員会の一員として社内でヒアリングをするグリビン氏によれば、自宅勤務が増えることは「とても前向きに受け止められそう」で、東京の事務所を縮小することもあり得なくはないという。

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