<せんだい進行形>バーチャルオフィス活況 事務所持たず住所レンタル、起業をしやすく
新型コロナウイルスの感染拡大を防止する対策として在宅勤務の普及が進む中、オフィスを持たずに住所を借りるバーチャルオフィスの需要が高まっている。6月には東京の専門事業者が仙台市青葉区に東北で初出店したほか、地元業者にも問い合わせが相次いでいる。(報道部・古賀佑美)
バーチャルオフィスを全国30拠点で展開するワンストップビジネスセンター(東京)は6月18日、青葉区本町1丁目のJR仙台駅近くに仙台店を開設した。
店舗はビル内のがらんとした10坪ほどの1室のみ。商談用として利用者に時間貸しする。徹底的に無駄を省き、格安でサービスを提供する。
土本真也社長(43)は「以前から起業文化が根付く仙台に出店したかった。新型コロナの影響で、テレワークや固定費を削減したい企業の受け皿にもなり得る」と話す。
住所を貸すバーチャルオフィスサービスは立地に価値を置く。取引先や顧客への信頼性が高い仙台駅前エリアには、複数の地元企業が10年以上前からサービスを展開している。
青葉区中央4丁目のオフィスドリームズ竹葉は2007年、シェアオフィスとバーチャルオフィスのサービスを始めた。バーチャルオフィスには約70の個人、法人が登録する。
家庭問題のカウンセラーやフラワーアレンジメント講師といった女性の登録が多く、東日本大震災後は復興需要を狙う宮城県外の建設会社の登録が増えた。新型コロナに影響を受けた解約はほとんどなかった。
小林房子社長(81)は「時代を反映するサービスなのかもしれない。働く場所にとらわれないので、コロナ禍でも必要とされるはずだ」と期待を込める。
シェアオフィス事業も含む青葉区本町1丁目の「セカンドステージ」の運営会社は、会計事務所が母体となっているのが特徴。企業支援の視点を生かして事業を展開し、開業相談にも対応する。新型コロナ前に比べ、問い合わせが3倍に増えているという。
バーチャルオフィス事業の課題は利用者の審査だ。各運営会社は利用希望者の登記や取引履歴を確認する。対面審査や会員制交流サイト(SNS)のチェックも加え、悪用を防ぐ対策を尽くしている。地元企業は「無理に利用者を増やさず、関係性のある事業者に特化する」と説明する。
市内の不動産関係者はバーチャルオフィスについて「副業や個人事業主のスタートアップで広く利用される可能性はある。ただ、事業拡大に向けた融資を受けるには、実体のオフィスを借りて法人の信用性を高める必要があるだろう」と指摘している。
[バーチャルオフィス]事務所を持たない個人事業主や法人に、住所や電話番号、ファクス番号をレンタルするサービス。法人登記のほか、郵送物や電話の転送も可能。利用料はシェアオフィスやコワーキングより安価で、自宅情報を公開したくない起業家や個人事業主の利用が多い。
2020年07月10日金曜日
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July 10, 2020 at 10:11AM
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