ホテル丸ごとオフィスに 小規模事務所集合体 - 大阪日日新聞 - 大阪日日新聞

大阪ニュース

2020年10月22日

　インバウンド（訪日外国人客）需要を見込んで建設されたシティーホテル１棟すべてを、特徴を生かしてサービスオフィスと呼ばれる小規模事務所の集合体に衣替えした「ビズミックス淀屋橋」が完成。新たなビジネスシーンに活用してもらおうと、来年１月のオープンに向けて内覧会を実施している。

元インバウンド向けホテルを改装したサービスオフィス「ビズミックス淀屋橋」の１室＝大阪市中央区

　三井物産系の投資法人「みらい」が所有する９階建て延べ約１８３０平方メートルのホテルで、敷地は約３００平方メートル。２年前の完成直後から日韓関係悪化や台風襲来で外国人旅行者が減り始め、新型コロナウイルスの感染拡大もあり、今年５月にホテル運営会社が廃業した。

　「みらい」で調査したところ、オフィス街の淀屋橋や北浜に近い立地で、新型コロナ禍でオフィス規模縮小を検討する企業や、オフィスビル建て替え需要、新たなプロジェクトのための小規模事務所などのニーズは旺盛なことが判明した。

　２億５千万円を費やして、ホテル時代の客室の仕切りはそのままに風呂などの水回りを撤去。ドアは透明ガラス製に取り換えるなどし、室内には事務机と棚などを整備しての転用を決めた。

　料金は３人用で月額家賃２０万円から。Ｗｉ−Ｆｉやネット環境が整備され、コピー機やドリンク類も各階に備え付けられている。初期費用としてかなり割安に使え、会社登記や郵便、宅配便などの受け取りも可能という。

　各フロアにトイレや休憩スペース、１階の元フロントに平日は職員が常駐する。同ロビーは入居者向けカフェサロンとし、来訪者との打ち合わせもできる。１、２階には入居者用貸し会議室も用意した。

　三井物産・イデラパートナーズ社長を兼ねる「みらい」の菅沼通夫執行役員は「ホテルから事務オフィスというと簡単そうに見えるが、実際は立地や日々の通勤圏などで意外に適合しない。その点、淀屋橋は大阪きってのオフィス街で合致した。今後はこの地で得たノウハウを生かし、郊外住宅地に隣接した駅前などで既存建物の小規模オフィス転用などを検討したい」と語った。

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