アフターコロナ 仕事はこう変わる:
新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、業務の進め方を見直す企業が増えている。営業、在宅勤務、出張の是非、新たなITツール活用――先進的な取り組みや試行錯誤をしている企業の事例から、仕事のミライを考えていく。
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テレワークや在宅勤務を導入する企業が増え、働く人が自ら環境を選択して業務を行うスタイルも広がってきた。その選択肢の一つがシェアオフィス。さまざまな形態やサービスのシェアオフィスが増えている。
三井不動産は2017年春から、法人向けシェアオフィス「ワークスタイリング」を展開している。今では全国に90以上の拠点を構え、会員企業約600社、会員数約15万人の事業に成長した。
同社は12月8日、コロナ禍における需要の変化に対応するため、法人向けシェアオフィスの新サービスを開始。個室特化型サテライトオフィス「ワークスタイリングSOLO」を展開する。住宅地の近くに完全個室を備えた施設を設置することで、在宅勤務の課題解決を支援するという。20年度中に13拠点を開設し、21年度には30拠点体制にする計画だ。
なぜ今、「個室」に特化した拠点を新たに展開するのか。三井不動産でワークスタイリング事業を担当する出原大揮氏と、事業立ち上げ当初の16年から同社と共同でプロジェクトを進める、日建設計 NAD(Nikken Activity Design Lab)の梅中美緒氏に話を聞いた。
オンライン会議の普及で拡大した新しい需要
三井不動産のワークスタイリング事業では、これまでに「SHARE」と「FLEX」の2つのサービスを展開してきた。SHAREは法人向け多拠点型サテライトオフィスで、会員企業の社員などが時間単位で全国の拠点を利用できる。ワークスペースの多様さやコンシェルジュが対応するホスピタリティの高さが特徴だ。FLEXは法人向けサービスオフィスで、企業などが1カ月単位、1席単位でSHAREの拠点をオフィスとして利用できる。
17年4月、10拠点からスタートしたワークスタイリングは「当初は閑古鳥が鳴いていた」(梅中氏)というが、働き方改革の広がりなどによってすぐに利用企業が増加。ニーズに合わせて拠点やサービスを拡大したほか、会議室中心、半個室中心など、立地やフロアの広さといった拠点の特性によって施設のバリエーションも広げた。今では、会員企業にとって“インフラ化”している側面もあるという。
そんなワークスタイリングで新サービスを始めた理由は、新型コロナウイルスの影響による在宅勤務の拡大で、シェアオフィスに対する需要が変化してきたからだ。
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その変化とは「1人用個室」の需要拡大。11月末時点で、1人用個室の総利用時間は1年前の約3倍に増加しているという。
その背景には、テレワークに伴ってオンライン会議が普及してきた事情がある。オープンなスペースだと防音やセキュリティの面でオンライン会議には不便だ。また、家族がいる自宅では、なかなかオンライン会議に適した環境を確保できないという課題もある。
ワークスタイリングSHAREでも1拠点あたり10〜15室の個室を備えているが、それでも足りない状況だ。会員からも「予約が取りにくい」という声が寄せられているという。出原氏は「在宅勤務が広がって、課題を感じている人が多い。自宅の近くで個室を利用するニーズがあると考えた」と説明する。
ビルがなくても提供できるモビリティタイプも用意
そういったニーズに対応するために、個室特化型の拠点展開を始めた。郊外を中心に展開するワークスタイリングSOLOは、2種類の形態で働く場所を提供する。一つが「ビルインタイプ」、もう一つがトレーラーハウスを活用した「モビリティタイプ」だ。
基本的にはSHAREと同様にビルインタイプを展開していくが、移動が可能なモビリティタイプをあえて開発したのは、「空いているビルがなくても、スピード感をもってワークスペースを提供したい」(出原氏)からだ。コロナ禍で需要がどんどん変化する中で、時間はかけられない。新しいニーズに素早く対応できるように、モビリティタイプを用意した。
ビルインタイプは12月8日にオープンした新百合ヶ丘(川崎市)を皮切りに、藤沢、府中、三軒茶屋、中野などに展開予定。モビリティタイプは現在3拠点で、「アーバンドック ららぽーと豊洲」(東京都江東区)、「ららぽーと柏の葉」(千葉県柏市)、「三井アウトレットパーク多摩南大沢」(東京都八王子市)の敷地内に設置している。料金は10分280円。
では、ワークスタイリングSOLOの施設はどのようなものなのか。個室特化型というと、個室がただ並んでいるだけの空間を想像するが、梅中氏によると「集中とリラックスのメリハリをつけて1日中過ごせる空間にしている」という。
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オンオフの切り替えをサポートできる空間に
例えば、新百合ヶ丘の施設では、2種類の個室を用意。黒い壁や机を設置して集中することに特化した部屋と、木目調のしつらえで開放的なイメージの部屋だ。その日の気分や業務内容によって使い分けることができる。個室には防音機能があり、席を外すときに施錠することもできる。
また、個室だけでなく、オープンなカフェスペースを設置。SHAREの拠点と同様に、フリードリンクなどを用意する。梅中氏はSOLOの設計について、「小さいながらも回遊性のある場にしている。スイッチのオンオフの切り替えを空間がサポートできれば。今までのワークスタイリングらしさを継承している」と説明する。
出原氏も「施設の広さからいえば、もっとたくさんの個室を入れることはできた。だが、カフェスペースも一つのブランド価値。『いつものコーヒーが飲める』といった会員のルーティンをなくしてはならない。『いつもの場所に帰ってきた』感覚と、非日常性を共存させるようにした」と話す。
ワークスタイリングの強みであるコンシェルジュサービスも提供。SOLOの拠点ではオンライン対応となる。施設の入り口に設置したタブレット端末から、SHAREの施設にいるコンシェルジュが遠隔で入室を案内する。個室の室内にも、コンシェルジュに連絡ができる端末を設置している。
モビリティタイプは当面の間、3カ所の商業施設への設置を続ける予定だという。今後のニーズによっては、別の場所に動かしたり、拠点数を増やしたりすることも検討する。梅中氏は「商業施設という“生活の場”と働く場が融合している。生活の延長として仕事に来る感覚は、今まであまりなかったのでは」と話す。実証実験の際には、会員企業に勤務する夫婦がSOLOを使ってそれぞれ仕事をして、帰りに一緒に商業施設に立ち寄る姿も見られたという。生活の場で働く在宅勤務でも、毎日自宅で過ごすだけではない、仕事と生活の新しい在り方を見いだすこともできるかもしれない。
ワークスタイリングは、変化するビジネストレンドを反映して変化してきた。当初は、作業や打ち合わせで一時的に使うタッチダウンの要素が強かったが、その後、来客のもてなしやフラットなブレストの場として使うニーズが増え、それに合わせて会議室を充実させた拠点なども設置している。新サービスのSOLOもその変化の一つ。「施設を作って、使ってもらって、観察して、また作り変えることを繰り返す。状況がどんどん変わる中で最適解を探し続けている」と梅中氏は話す。
コロナ禍によって、働き方はさらに多様化し、それに伴うニーズも多様になっている。働く人一人一人が自ら働き方を構築していける環境がさらに整っていきそうだ。
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December 11, 2020 at 05:00AM
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