阪神は高卒3年目の西純矢投手(20)がプロ初本塁打&プロ初完投の離れ業を演じ、ヤクルトに快勝した。虎では15年ぶりとなる「8番投手」で先発した西純は2回表に左越え2ラン。日刊スポーツ評論家の岩田稔氏(38)はその直後、2回裏に坂本誠志郎捕手(28)が繰り出したリードに注目した。【聞き手=佐井陽介】
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興奮冷めやらぬ雰囲気の中、阪神坂本捕手の見事な手綱さばきが効果的でした。「8番投手」で先発した西純の豪快なプロ初本塁打が飛び出した直後、2回裏のリード。このイニングに投げさせた11球のうち、直球は2球だけでした。
振り返れば、初回は150キロ超の直球でドンドン押しています。1回は計19球のうち11球が直球。3回は計14球のうち8球がストレート。ではなぜ2回だけ変化球の割合を一気に増やしたのか。個人的には「ここからはもう1度冷静に行くんだぞ」という意図をはっきりと感じ取りました。
投手だった自分にも経験があります。打者として攻撃面でも貢献できると、どうしても気持ちが高ぶってくるものです。ましてや西純はまだ20歳。イケイケドンドンのまま直球で単調に押し続けたくなるところで、投手を落ち着かせるリードを選択した坂本に頼もしさを感じました。
対照的だったのが、若きヤクルトバッテリーです。確かに25歳左腕高橋の直球には抜群の威力がありました。本人にも自信があったでしょうし、直球を軸にするリードに異論はありません。ただ、あまりに配球が偏りすぎた感は否めません。あれだけ同じ球種が続くと、どれだけ強い直球でもテンポが単調になって、“出合い頭”の可能性が高くなってしまいます。
初回は先頭から直球を続けて11球目、3番マルテに甘く入った151キロを左翼席へ運ばれました。2回2死一塁から西純に2ランを浴びたボールも、スーッと投げてしまった感がある150キロでした。直球で押したくなる状態だったからこそ、23歳の古賀捕手は手綱さばきも意識するべきだったように思います。
タイガースに話を戻すと、この日、梅野が右脇腹の負傷で出場選手登録を抹消されました。主将でもある坂本の力がますます必要なタイミングが訪れました。時には冷静に時には熱く、持ち前のリーダーシップをグラウンド上でも発揮してもらいたいと思います。(日刊スポーツ評論家)
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