オーストラリア南東部に広がる高く湿った森、いわゆる湿性高木林には、世界で最も背が高い顕花植物がある。セイタカユーカリだ。その学名Eucalyptus regnansは、ラテン語で「ユーカリの支配者」という意味。この巨木が高さ90メートル以上にも達することを考えると、ぴったりの名前だろう。(参考記事:「タスマニアの巨木林を守れ」)
オーストラリアに生えるユーカリの多く、とりわけ比較的乾燥した森は、森林火災に耐性があり、炎に包まれてから数週間以内に新芽や新たな枝を出す。だが、こうした火に強い種にも限界はある。
さらに、セイタカユーカリやその近縁種アルパインアッシュ(Eucalyptus delegatensis)の原生林は、火災に対する耐性がより低い。ビクトリア州では、これらの木は伐採や開拓により、すでに著しく減少していた。今季オーストラリア東部を襲った森林火災は、数カ月で10万5000平方キロ以上(本州の面積の半分弱)を焼き、現在、森はさらに大きな危機にさらされている。(参考記事:「森林火災で火災積乱雲が発生、まるで地獄絵図、豪」)
今回、壊滅的な被害を受けた場所のなかには、過去25年間で4度も火災に見舞われたところがある。そんな目にあえば森は回復できないと、オーストラリア国立大学の生態学者デビッド・リンデンマイヤー氏は言う。
「これまで森林火災は、75〜125年に1度のペースでしか発生してきませんでした。今起きているのは、まさに異常事態です」と同氏は話す。「セイタカユーカリは、樹齢15〜30年にならないと、森林火災から再生するだけの十分な数の種子を作れません」
森を特徴づけるこうした優占種の喪失は、重大な問題だ。ススイロメンフクロウ(Tyto tenebricosa)、ジャイアントバロウィングフロッグ(Heleioporus australiacus)、もふもふの樹上性有袋類フクロムササビ(Petauroides volans)など、絶滅が危ぶまれる種の重要な生息地となっているからだ。
「元の生態系は、事実上、崩壊してしまいました。何か別のもの、どこにでも生えてくる雑草のような植物の群生地に変わってしまう可能性が高いです」と、チャールズ・ダーウィン大学の保全生物学者ジョン・ウォナースキー氏は話す。「面白みも特徴も少ない植生に収束し、絶滅が危惧される動植物をわずかしか支えられなくなるでしょう」
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February 04, 2020 at 04:00AM
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激増する森林火災、火災に適応した森も再生できない恐れ - ナショナル ジオグラフィック日本版
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